MUCHU人

「私の物の感じ方」

月に一度停止している

私は前に書いたように、9月に正式に広汎性発達障害と診断を受けたばかりだ。でも実際は、19歳の頃から精神科や心療内科にかかっている。
他人と通院歴を比較した事はないが、初めて精神科での受診をした時には、まさかこんなに長いことお世話になるとは思いもしなかった。
最初は統合失調症、次の病院では双極性障害Ⅱ型。そしてようやく春から通い始めた病院で、広汎性発達障害と軽い適応障害と診断された。
他人には一時期人格障害系ではないのかと言われたこともあったけれど、それはなかった。

既往歴が長いのと、自宅にいた時期も長く、仕事も上手くいかない。
沢山服薬もしていたし、怠くて、なんとかならないかと、色んな気晴らし方法を試してみたことが、今では自分の体調を管理するための引き出しとなっている。

でも、そういう気晴らしが全く効かない時期が月に一度ある。

それが生理前、生理中の時期だ。
頭に霧が掛かったように、今まで出来ていたことも出来なくなるし、不注意が多くなるし、忘れ物も多くなり、工夫した生活パターンでさえ、ちょっとした崩れで立ち行かなくなる。
身体は怠くて、眠気に支配されている感じだ。
今まで出来ていた事が出来なくなると、ちょっとしたパニックを起こしたりする。

私は、普段から人よりも行動スピードや物事の処理スピードが10倍は遅い亀さんみたいな人間だ。
それでも苦手を苦手じゃなくするために、順よく出来るように、人よりもかなり前から入念に情報収集したり、勉強したり、必要な物を揃えたりしながら、作業所に通っていた。
今も、というか更に今は改良して、移行支援に通っている。

でもそんな工夫すら効かない。
それが今だ。
先回りしてやってきた事が、全く駄目になってしまうのだ。

亀さんながらも色んな事をこなし、移行支援に通うために、朝5時に起床して、身体を動かしているつもりが全く動けていないらしく、出勤ギリギリになっても、出掛ける準備が全く出来ていない。
予定外の会話をされると、更にパニックになり、自分が今から何をしようとしていたか忘れる。
そのまま出勤し、定期や財布など忘れ物の応酬。
自宅に舞い戻るのが一度や二度では済まなくなる。

その内、それもホルモンの為せる技なのか、無性に悲しくなってくる。

普段なら5時に起床し、頭の体操にと続けている絵本を読み、犬の散歩を済ませて、家事をして弁当を作ってから、朝食を食べ、食器を洗い、きちんと身なりを整えてから、今日の予定を確認し、電車に間に合うように出掛けて行く。

それが生理前生理中は何も出来なくなるのだ。
そんな時もう何もかも嫌だなという気分に陥る。
泣きたくなってきて大声で泣くし、この時期は家族とのコミュニケーションも余計に取れなくなる。

でも、生理が終わるとけろっと元気になって、生活が回るようになるのだ。
コミュニケーションも下手ながら、笑いのある日常に戻る。

どうやらこの女性の時期になると障害度合いが強くなるようだ。

診断が付いてから、家族も、どうも生理の時だけ余計に頭が働いていないなと、観察して理解してくれているから、何もしなくて良いし、日課を休む事も快く了承してくれるようになった。

普段ならば、気晴らしをいくつか組み合わせるだけですぐに切り替われるのだが、気晴らしすら出来なくなるので、私はただの自宅待機人になってしまう。

最初は情けないなと自分自身を責めることもあった。
でも責めてこの時期に元のように出来る訳ではない。
だったら、せめて自分自身を否定しなくて済むように、何も出来なくなる時期があるのが私のノマールな姿だと認識するようにした。
これも含めて障害と向き合うことなんだと思うようにした。
それからは、少し気分は楽になったように思う。

この時期に休まなくてはならない状態だったら、通所先に連絡することが以前は苦痛で苦痛で仕方がなかった。
それは以前の作業所で、単なる甘えだとスタッフに言われたからだ。
一番辛いのは自分自身なのに、そんな事を言われるなんて心外だった。
以前のスタッフに対して理解がないとは思わない。
なった事がない人に理解出来る方が不思議だからだ。
それでも頭ごなしな言い方は悔しかった。

でも今のスタッフは、「こういう時期も含めて、ゆっくりやっていきましょう。あなたが今は楽で、また頑張れるなら良かったと思います。」と仰って下さった。
本当に理解とはありがたいと思う。
この時期も、訓練を一つづつこなしていけば、変わりなく生活出来るようになるとの事。
無理をしない、自分自身を大切にする、それがコミュニケーションの基本だとも仰っていた。

怠くて鈍った頭で思うのは、やっぱり人なんだな、環境って大事だなということ。

そして頑張って今の場所に辿り着いた私は、障害があって大変なことも多く、しんどいことも多いが、とりあえず安心して暮らしている。

のんびりとお茶を飲みながら、ぼんやり過ごしている事が、
診断前と比べると奇跡のようだが、
自分自身を労れる環境とは本当にありがたい。

何にもできないのは疲れてしまうし、
また来週から頑張りたい。
元のよく喋り、よく動き、よく学ぶ、元気な生活に早く戻れるよう、
ゆっくり休む事にしよう。

それでは私でした。