MUCHU人

「私の物の感じ方」

聴覚過敏とお付き合い

私は聴覚過敏という特性を持っている。
移行支援のパソコンの講習中に、隣の人がカタカタと規則的にキーボードを打つ音や、時計の音、プリンターの音を聞くと、自分自身の作業に集中出来なくなってしまう。

その場合はスタッフに告げて、別の場所で作業が出来るよう配慮してもらう。
スタッフが理解ある人で本当に良かったと思う。

自宅いても本当によく音に悩まされる。

階下のTVの音、TVの音を消した静寂の中でも一際目立って聞こえる冷蔵庫の音、天井の照明の音、自宅の外を走る車の音、お向かいさんのスマホの音、お隣さんのクシャミ、愛犬のイビキ、機械から発せられる電磁波のようなザーッともサーッとも取れるような音。
これらが気になって、自宅作業がはかどらなかったり眠れなかったりする。

だからと言って、ご近所全てに配慮をお願いなどできるはずもなく、
テレビを消してとも言えるはずもない。
ここは実家なので、親がテレビを見ていても当然なのだから。

眠る時はどんなにうるさくてもデパスを0.5mg、頓服として飲んで、寝床に就く。
30分ぐらいで効き始めれば、安らかに朝まで眠る事が出来る。

作業をする時は完全に部屋を締め切り、ヘッドフォンをしながら勉強したり、本を読んだりする。

耳栓は怖くて出来なかった。
イヤホンは紐で繋がっているけれど、繋がっていない栓を耳の穴に入れるなんて、恐ろしい。
もしも取れなくなってしまっても引き抜く紐すら無いからだ。
あんな固形物が耳の穴に完全に入ってしまうなんて事は無いだろうとは思うのだが、
私は時々妙な事が心配になってしまう。
心配があるならばやらない、
それが良いと思っている。


室内の事はさて置き、外出する時は大変だ。
至る所から音が聞こえて来るので、なんだか目の前がゴチャゴチャした感じになり、不注意で事故が起きやすくなる。街中に行けば人にぶつかりやすくなる。
なので、一つ感覚を遮断するためにウォークマンは手放せないアイテムの一つになっている。
曲は朝からデス、ブラック系のメタルやハードコアが必須だ。規則正しく、且つある程度複雑な音の重なりがある方が、騒音対策には効き目があるからだ。
騒音を別の音で打ち消すと、完璧ではないが、周りが少しだけ整理されて見える。
これがないと人の動きを予測するのが苦手な上に、障害物との間隔が取れず、私の身体は打撲だらけになってしまう。
こんな便利な物が存在してくれて本当にありがたいと思う。
正に文明の利器だ。

そうして何とか工夫しながら外出をする。

それから、どこであろうが、良くない考えがグルグル回っている時や、過集中になりがちな時は、そちらへの集中を妨げるように、現代音楽系、実験音楽系の物を聴く。逆に静かながら耳に障るぐらい規則的ならば、移行支援の集中を妨げるような形状の音を、逆に利用出来る。
良くない考えに集中出来なくなり、ボーっとした状態になる。

人によるだろうが、
私はなんとかそれで今の所は成り立っている。


音楽を利用するばかりではなく、実際にこれらの音楽が好きだからか、楽しみながらやれている工夫として、私の中では定着している対策法。

聴覚過敏は悪い事ばかりではないと思っている。
母も聴覚過敏があるのだが、私と一緒にテレビのナレーションが誰かを当てるゲームをする。
愛犬より先に父の帰宅を当てる。
音楽は割と得意な方だし、テープ起こしという作業をすると、非常に効率が良い事も分かったし、実生活上に於いて辛い事ばかりではないのだ。

それと似たような事で、きっと他の事も、悪い事の裏には良い事が必ず隠れているのだと、常々自分自身に言い聞かせている。

よくネガティヴスパイラルに陥りやすい自分自身にとっては、本当に大切な教訓だと思っている。

そんな感じで今日も音を味方にしたり、音に苦しんだりしながら生活しています。

それでは私でした。