MUCHU人

「私の物の感じ方」

ユニークで自己肯定感を上げる

移行支援でワークというカリキュラムがあります。
具体的にどういうカリキュラムなのかというと、社会的に相応しくない行動をする主人公を例に挙げて、それは良い行動か悪い行動かを答え、主人公は実際にはどうしたら良かったかを考えるカリキュラムです。

例えばこんな感じです。

問題1

場面)Aさんは上司から割り振られた企業の住所を調べて、企業宛ての郵便物の宛名に宛先を書いていくという仕事の指示を受けました。仕事をしていくうちに、Aさんはその企業がどういう企業かについて興味が湧いてきました。そこで、各企業について調べた資料も一緒に上司に提出しました。

Q1.Aさんの上司からの評価は、この後どうなりましたか。マルをつけよ。
①上がった
②変わらない
③下がった

Q2.それはなぜですか。

Q3.Aさんはどうすれば良いでしょう。


こんな感じの問題が出ます。
例題が分かりやすいので、Q1とQ2の判断は分かります。
でも私は、Q3がメンバーの回答や答え合わせの正解とは違います。
Q3のメンバー回答や、答え合わせの内容は「その作業をしても良いかどうか上司に相談する」もしくは「指示通りの事しかやらないようにする」でした。
私の場合は上の例だと、こう答えました。

Q3.Aさんはどうすれば良いでしょう。
        休日に趣味として、自分のPCを使っ      て、YahooやGoogleなどで調べたら良い。

もちろん真面目に答えています。
なぜなら、興味を持ってしまったAさんの気持ちの方が問題だからです。
興味が湧いた気持ちを持ち続けると、会社のコンプライアンス違反をする可能性も出てきますし、上司に相談してダメだった場合、ストレスと欲求だけが残ってしまうと思いました。
だから、興味を持ったことを調べられる方向でどうしたら良いかを書きました。
これは、恐らく頭ごなしにダメだと言われても、納得できない自分の性質が影響していると思います。

実際にその問題が出たカリキュラムの時間は、私の回答は求められている答えとは違うという事で、マルはもらえなかったのですが、間違えだとは思いませんとスタッフに言われました。

日常でもこういう事が良く起きて、それはなぜですか?と質問をされます。
以前は求められている回答と違うのでは、自分の答えは間違えであると、自分で自分を否定していました。
マルがもらえなかったわけですから、それは社会では通用しないと認識するわけです。
でも今は、答えは求められている答えではないけれど、私の回答も社会に出てから必要な理由があると、きちんと人に伝えられるようになりました。
どうしても白黒思考になりがちで、ズレがあれば指摘され、なぜそんなことを言われなければならないのか、納得できない事が良くありました。
今でも私が理屈で説明できる事に対して、理屈否定されない限りは、指摘を受けるのに関して納得できないことはあります。
でも、そのマルをもらえなかった回答こそが、自分が生きていく上で、欲求をコントロールしたり、ストレスを溜めない工夫であるから、胸を張って私の正解!!にして良いのだと思えるようになってきました。
工夫をして、セルフコントロールが出来るのは立派な社会的スキルです。
だから、生活の中で出す自分の答えも、間違えではなく、ユニークなのだと思うようにしました。

こうやって少しづつ自己肯定感が上がっていくんだと最近は感じています。
自己肯定感が上がる実感もしますし、自分の目的(就職したい)と移行支援の目的(就職するために必要な考えを伝えたい)にズレがなければ、それでよしとすることにしました。
自分の答えは定型的ではないけれど、社会に適応するためにしっかり学べているぞ、と自信になります。

他にもカリキュラムがありますが、こんなことも移行支援で行っている訓練の一つです。

この場合ですと、カリキュラムの主な目的は社会で必要な考えを学ぶことですが、私のように自己肯定感を上げる、自信をつけるということも含まれていると思います。
もしかしたら、他の人の場合だと、別な良い目的が含まれているかも知れません。

だから、移行支援を受けていて、社会の求める自分でいなくては、社会で通用しないとも思わなくなりました。

定型発達に近付こうとするのは無理なのですから、工夫の方法も非定型で良いと思います。
ユニークとは、周りにとっても新しい引き出しを増やすきっかけになりますし、とても良いことだと思います。
自分の障害についてこうやって今後ももっとポジティブに考えていけるような体験ができたらいいなと思っています。

それでは私でした。